マンガ家のさいとうたかを氏が亡くなりました。
享年84歳。すい臓がんだったそうです。

[写真]=wikipedia
子供のころから随分と楽しませてもらいました。
連載開始が1968年ですから私はまだ6歳。
テレビで「巨人の星」が始まったころです。
2018年には「ゴルゴ13」連載50年、
2020年にはさいとうたかを氏は画業65年を迎えていました。
ゴルゴ13 とは(今さらですが)
完全無欠のスナイパー、デューク東郷ことゴルゴ13。
「俺の後ろに立つな!」はあまりにも有名ですね。
でも、実はこの台詞自体はゴルゴは一度も言ってないんです。
「俺の後ろに音もたてずに立つようなまねをするな…おれはうしろに立たれるだけでもいやなのでね…」という近い台詞は存在します。
これがいつの間にか「俺の後ろに立つな」という風に世に浸透してしまったようです。
そりゃ長いセリフはいちいち覚えられませんよね(笑)
後ろに立った人間をいきなり殴るといったシーンもあります。
「ゴルゴ13」という名前は
新約聖書の”ゴルゴダの丘”から名付けられたものです。
その時代時代の世界の情勢を反映したストーリー展開は秀逸。
ゴルゴはほどんど最終シーンで1発撃つだけなんですけど(笑)
それでもやっぱり面白い。
2度実写映画化され、
最初は高倉健、2度目は千葉真一となかなかのキャスティングだったですけどね。
特に高倉健さんはまさに「ゴルゴ13」のイメージに重なるものがあったのですが、
2本とも傑作とはお世辞にも言い難い残念な作品でした。
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千葉真一さんなんてパンチパーマでしたもんね。
残念さMAXです。(苦笑)
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アニメ作品もありました。
CG(コンピュータグラフィック)を駆使したアクションシーンありということで
かなり楽しみにしていたのですが、
肝心のCGが今では考えられないほど初期のものでしたから、
アニメのキャラとはものすごくアンマッチなポリゴン風ヘリコプターが飛び回るという、
映画そのものをぶちこわす残念シーンとなったのを覚えています。
いずれの作品にせよ失望が大きかったということは、逆を言えば
「ゴルゴ13」がいかに多くの人に愛され、作品に対する期待値が高かったか
ということなんでしょうね。
さいとうたかをは死んでもゴルゴは連載継続
人間はいずれ死ぬものですから、
さいとうたかを氏だっていずれは亡くなるとはおもってましたが、
いざ亡くなってみると最初に頭に浮かんだ気持ちは追悼の念と同時に
「ゴルゴ13もついに連載終了なんだろうなあ。」という気持ちでした。
2021年7月時点で201巻も発行されたゴルゴ13は
「最も発行巻数が多い単一漫画シリーズ」として
ギネスブックにも認定もされた作品ですからあまりにも残念。
(ちなみに2位は全200巻の「こちら葛飾区亀有公園前派出所」)
ところが、さすがは天下のさいとうたかを氏。
その辺もしっかり考え、準備していたようです。
『ゴルゴ13』の掲載誌「ビッグコミック」編集部によると、

今後は、さいとう・たかを氏のご遺志を継いださいとう・プロダクションが作画を手がけ、加えて脚本スタッフと我々ビッグコミック編集部とで力を合わせ『ゴルゴ13』の連載を継続していく所存です。
と、作者死亡にも負けず、作品継続の意向だそうです。
連載継続を可能にするプロダクション方式
さいとうたかを氏は早くから
分業・プロダクション方式での作品制作を実施してきました。
最近は「ドラゴン桜」「インベスターZ」の三田紀房氏が似たような手法を取り入れています。
さいとうたかを氏は過去に以下のような発言をされています。

みんなそれぞれ自分に足りないところで悩んでいるな、と思ったんです。だって、絵を描く才能とドラマをつくる才能は別物ですから。
もちろん天才は出てきますよ。手塚先生(※注:手塚治虫)とか章太郎(※注:石ノ森章太郎)みたいな。でも、そんな人ばかりじゃないです。
それぞれの才能を持ち寄れば、もっと完成度の高い作品ができるはずだと考えていたので、最初から組織づくりについては考えていました。
ただ、現在のような“さいとう・たかをのためのさいとう・プロ”にするとは考えていなかったですけど。

核をこしらえて、そのまわりにスタッフを置く……。
核っちゅうのは、映画でいえば監督ですわ。
そしてゴルゴのようなキャラクターができた時には、5つぐらいのグループで『ゴルゴ13』をつくれば、もっと読者にアピールできたと思うし、楽しいと思うんですよ。

私の作品にアシスタントはいません。
すべて“スタッフ”ですから。編集者も、プロデューサーだと考えてます。
(宝島社『生誕80周年記念読本 完全解析! 石ノ森章太郎』より)
凄い仕組みを作ったものですね。
おかげで私たちファンはまだまだ「ゴルゴ13」を楽しませてもらえそうです。
さいとう先生、やすらかにお眠りください。
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